アルファベット株が月曜日に6%急落した。グーグルのAI分野のトップ研究者2名が、それぞれAnthropicとOpenAIへの転職を発表したことが背景にある。相次ぐ離職で時価総額は約25兆ドル消失した。
ウォール街では現在、グーグルが先端AI人材獲得競争で後れを取っているのではないかという議論が公然と交わされている。
先端AI研究者とは、次世代の大規模言語モデルや基盤システムの進化を担う科学者を指す。グーグルでは極めて重要な2人の人材が相次いで退社。ノウハウと実績をライバル企業へ持ち出すかたちとなった。
ジョン・ジャンパー氏は週末に、約9年在籍したグーグル・ディープマインドを離れ、Anthropicに移籍すると発表。同氏は副社長およびエンジニアリング・フェローを務め、αFold2の開発チームを率いてきた。
ジャンパー氏は、一般的な人材ではない。2024年ノーベル化学賞をデミス・ハサビス氏と共同受賞。200万件超のタンパク質立体構造解析を成し遂げた。こうした業績もあり、同氏のAnthropicへの転身はAI×サイエンス分野の勢力図を即座に変えるインパクトを持つ。
数日前にはノーム・シャジール氏も大きな話題となる退社を選択。Gemini共同責任者でエンジニアリング担当副社長だった同氏は6月18日、OpenAIに移籍。グーグルが2年前、「キャラクターAI」買収で27億ドルを投じて呼び戻したばかりだった。
シャジール氏は業界の歴史においても重要な役割を持つ。2017年、グーグル・ブレインで「Attention Is All You Need」論文を執筆。変換器(トランスフォーマー)という今の主要言語モデルの根幹となるアーキテクチャを初めて世に示した。
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Anthropicへ惹きつける力は両者に共通。同社は時価総額約1兆ドルで調整中と報じられている。さらにPolymarketでは、年内IPO実現の確率が約74%と見積もられている。
アルファベット株価は取引時間中最大7.2%まで下落。2月以来の急落幅となった。終値も6%安となり、過去1年で最悪の取引日となった。加えて時価総額は約25兆ドル消失。
アナリストの論調も急速に厳しく変わった。D.A.デービッドソンのテクノロジーリサーチ部門責任者ギル・ルリア氏は、グーグルがAI最前線での人材獲得競争に敗れていると警鐘。「離脱はグーグルが目に見えて後退しつつある兆候」とも指摘した。
バイタル・ナレッジ創業者アダム・クリサフリ氏も賛同。「OpenAIとAnthropicが米国の先端AI企業としてますます優勢になっている」と指摘。グーグルやメタ、xAIをモデル構築やコーディングツールの能力で引き離しつつあるとの見解を示した。
この売り圧力は他のビッグテックにも波及。ブルームバーグ「マグニフィセント・セブン」指数は月曜日、最大2.2%下落。さらにアマゾンが5%、メタとマイクロソフトはともに3%超の下げを記録した。
支出圧力が痛みを増幅した。アルファベットは今月初め、人工知能分野の設備投資資金として800億ドルの新株発行を発表した。AI関連の年間総支出は1,800億~1,900億ドルに達する見通し。
より大きな論点は構造的な問題である。投資家はAI計算能力に資金を投じる企業から、代金を受け取る側の企業へと資金をシフトしつつある。
グーグルが優秀な人材を保持し続けられるか、あるいは現状の評価を覆せるかが、2026年残りの株価動向を左右する。
