米国株式市場は金曜日に上昇。スペースX(SPCX)が過去最大規模の新規株式公開(IPO)となり、株価が約22%急伸した。消費者センチメントの改善や中東和平への期待も支援材料。
ただし、SPCXの750億ドル上場は、同業他社やメガキャップ銘柄から資金を吸い上げたため、IT株は上昇に出遅れた。
スペースXは1株135ドルで5億5600万株を売却し、750億ドルを調達。史上最大のIPOとなった。株式は150ドルで取引を開始したが、取引開始前に市場関係者が示唆していた175ドルには届かなかった。需要は強かったが、事前のブームほどではなかった。
その後、買い手が参入。SPCXは本稿執筆時点で168.73ドルの高値をつけ、その後166ドル近辺で推移。約22%高となり、時価総額は2兆ドル超となった。
5分足では上昇の勢いが鈍化している。価格はボリューム加重平均価格(VWAP)の162.62ドルを上回って推移。VWAPは機関投資家が基準とする取引指標。
一方、買いと売りの圧力差を示す累積出来高デルタ(CVD)は低下基調。出来高純増は約38万4000株で、本格的な需要確認には110万株水準の回復が必要。
ナンセンによる永久先物の建玉動向は慎重さを示す。上場日当日は現物株の決済が済んでおらず、株式の空売りは困難。調達困難なため、弱気ポジションは先物に集中。
クジラは1860万ドル、優良トレーダーは720万ドル規模の純ショートを保有。この乖離が先物でのショートカバーや、経験豊富なトレーダーの上昇打ち消し行動を示唆する可能性も。
オープニングレンジブレイクアウト(ORB)指標は取引開始直後の高値・安値を示し、ブレイクの判断基準となる。
5分足で168.73ドルを上抜ければ173.95ドルが視野。下値は155ドル維持が重要。それを下回ると、149.77ドルの安値まで下落の可能性。
3つの要因が相場を押し上げている。
巨額IPOの成功は大規模成長案件に資金が向かう投資家心理を示し、幅広い銘柄に自信が波及。一方、資金のローテーションも発生。
ロケット・ラボ(RKLB)は9.36%安、テスラ(TSLA)は2.32%下落。既存の宇宙関連株やイーロン・マスク関連銘柄を売ってSPCXに乗り換える動きが表面化。
ミシガン大学による6月速報値の消費者センチメント指数は、家計や経済動向への信頼感を測定。44.8から48.9まで上昇。
個人消費は米国経済の約3分の2を占める。調査値が強含むことで、センチメントは依然低調ながらも景気後退懸念が和らぐ形。
米国とイランがホルムズ海峡の再開合意に近づいているとの報道で、原油は下落。
エネルギー価格が下がればインフレリスクとコスト圧力が緩和され、景気敏感株や小型株を中心に恩恵が広がる。
小型株は、国内の景気敏感株がエネルギー安の恩恵で上昇し、指数をけん引。一方、大型銘柄の資金流出でナスダックは上値が重かった。
S&P500は50日指数平滑移動平均(EMA)7,273を守り、7,423付近で推移している。EMAは直近価格を重視して算出する移動平均線である。
指数は現在、20日EMA(7,422)と攻防を繰り広げている。7,459を上抜くには0.47%の上昇が必要となり、取引終了までに7,527を目指す展開も想定。7,595を超えれば上昇継続の動きとなる。
7,237を割り込むと、100日EMA(7,098付近)が次の焦点となる。ここからのSPCX株の動向も重要となる。指数はデビュー効果によるセンチメントの刺激を求めており、流動性の低下は避けたい構え。
素材セクターは2.20%高。和平期待が高まり、世界の貿易とコモディティ需要の見通し改善が理由である。金融はJPモルガン(JPM)が2.04%上昇し、1.21%値を上げた。
銀行は過去最高水準の上場によって引受手数料を得た。スペースX株のIPO需要拡大もディール収益予想の押し上げ要因となった。
エネルギーは1.11%高。出遅れた割安な景気循環型グループへの資金シフトが進んだ。
一般消費財は1.10%下落。アマゾン(AMZN)が2.14%安となったほか、テスラも続落した。ヘルスケアは0.17%の小幅安。リスクオンでディフェンシブの魅力が後退した。
テクノロジーは0.38%高にとどまり、市場全体の動きに劣後。エヌビディア(NVDA)は0.08%の横ばい、マイクロソフト(MSFT)は0.65%安となった。750億ドル規模のIPOが資金を吸収したため、ファンドは現金化のためメガテック株を一部売却した。
資金流出は早い段階から始まった。前週のテクノロジーの上昇率は0.98%にとどまり、素材は3.50%高だった。デビュー前から資金移動が起こっていたことを示す。
アドビ(ADBE)は6.62%下落。ウォルフ・リサーチとスティフェルが格下げを実施。両社はフリーミアム強化やCFO退任に伴う有機的な年間経常収益(ARR)見通しの悪化を指摘した。
アームホールディングス(ARM)は約9%高。バンク・オブ・アメリカがエージェンティックAI分野の市場規模を1700億ドルと試算したことが材料となった。AMDは需要期待の高まりを受け、4.81%上昇した。
SPCX株は週末最終日に上場。月曜日はデビュー効果の要因が外れる初の取引日になる。きょうの終値が来週の地合いを決める。SPCX組み入れが決まればインデックス型のパッシブファンドによる買いも発生するため、その動向にも注視したい。
来週はFOMC会合に加え、ケビン・ウォーシュFRB議長体制下で初の金利決定、新たな消費者信頼感指数も発表予定。SPCXが166ドル超、S&P500が7,422超で推移すれば、月曜の主導権は強気派が握る展開となる。


