ソフトバンクグループ(9984)は現在 ¥7,244(2026年6月22日終値時点)、当社判断は『中立』。AI関連の象徴として年初来で株価が約2倍に跳ね上がった同社だが、ここからソフトバンクグループ 株価をまだ買えるのか――という問いに、市場の答えはまだ割れている。アナリストのコンセンサス平均目標株価は¥7,632と現値の目と鼻の先にあり、上値余地は1割強にとどまる。本稿ではソフトバンクグループ(9984)の株価を、投資持株会社という特殊な事業構造、PERが効かないバリュエーション、証券各社の目標株価から多角的に検証する。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 現在値 | 約¥7,244(2026年6月22日終値) |
| 年初来レンジ(概算) | 約¥3,365〜¥9,074(3月安値〜6月高値、分割調整後) |
| 時価総額 | 約38兆円 |
| 予想PER | 指標性が低い(投資損益で変動) |
| PBR | 約2.15倍 |
| 予想配当利回り | 約0.15%(年¥11) |
| アナリストコンセンサス | 買い(強気買い10・買い3・中立4・売り2) |
| 平均目標株価 | 約¥7,632(2026年6月23日時点) |
同社株は「日本で買えるAIエクスポージャー」として個人・機関の資金を集めてきた。だが投資会社の株価は中身の資産価値で動く。物語の強さと、すでに評価された価格との距離を冷静に測る必要がある。
ソフトバンクグループ(9984、東証プライム・情報通信)は、事業会社というより巨大な投資持株会社である。中核資産は、半導体設計IPで世界標準を握る英Armの過半保有株、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF1/SVF2)の投資ポートフォリオ、そして近年急拡大したOpenAIへの大型出資だ。国内通信子会社のソフトバンク(9434)やPayPayも傘下に持つが、株価のドライバーはあくまで保有株式群の時価にある。
つまり同社を評価するということは、Armの将来価値、未上場AI企業群のバリュエーション、そして創業者の投資判断を評価することにほぼ等しい。9434が安定配当の通信株として位置づけられるのとは対照的に、9984は「攻めの投資ビークル」であり、リスク許容度はまったく異なる。両者を混同して買うと、想定外のボラティリティに直面しかねない。
直近のソフトバンクグループ 株価は、エージェントAI(自律型AI)への期待を背景に英Arm株が高値を更新したことを受け、6月中旬に大きく切り上げた。複数の海外勢がArmの目標株価を引き上げ、その連想で買いが波及した格好だ。一方で、6月10日には米オラクル急落や金利上昇警戒で一時¥6,000割れまで水準訂正する場面もあり、上下動の幅は極めて大きい。さらに翌6月23日には過熱感からの利益確定売りで反落し、同社一銘柄で日経平均を大きく押し下げた。
この乱高下の本質は、株価が「保有資産の時価×市場のリスク選好」で動く点にある。AIへの期待が膨らめば資産価値の評価が上がり、金利警戒やハイテク調整が出れば即座に巻き戻る。事業のキャッシュフローで底堅く支えられる株とは異なり、センチメントが価格を増幅させやすい。勢いがある局面ほど、反転時の振れ幅も大きいことを念頭に置きたい。
同社のバリュエーションを通常のPERで語るのは難しい。純利益が投資先の評価損益で大きく上下するため、ある期は巨額黒字、別の期は赤字となり、PERが安定しないのだ。実際、2026年3月期は親会社株主帰属純利益が約5兆23億円(前期比約333.7%増)と5期ぶりの最高益を記録したが、その大半はOpenAI出資などの投資利益であり、本業から生まれた利益とは性質が異なる。
| 指標 | ソフトバンクG(9984) | 含意 |
|---|---|---|
| PBR | 約2.15倍 | 純資産対比では割高でも割安でもない中間 |
| PER | 実質的に参考外 | 投資損益依存で年度ごとに乱高下 |
| 評価の軸 | NAV(時価純資産) | 保有株価値とのディスカウント率が本命 |
| 配当利回り | 約0.15% | インカム妙味はほぼ無い |
本来、投資会社はNAV(保有資産の時価純資産)に対する株価のディスカウント率で評価される。同社株がNAVに対し割安かどうかが投資妙味を測る本筋だが、保有資産にはArmのような変動の激しい株が多く、NAV自体が日々動く。したがって「PERが低いから値ごろ」といった単純な判断は通用しない。買うべきは利益の数字ではなく、Armを含むポートフォリオの中長期価値に確信が持てるかどうかである。
ソフトバンクグループ(9984)の株価をめぐる強気・弱気の対立は、以下の論点に集約される。
| 論点 | 強気の見方 | 弱気の見方 |
|---|---|---|
| AI投資 | OpenAI・Armで成長の最前線に布陣 | 未上場投資の評価は不確実で剥落リスク |
| Arm依存 | 半導体IP標準で長期成長を取り込む | 一極依存で株価がArm次第になりがち |
| 財務 | 含み益拡大で純資産が厚みを増す | 金利上昇局面で資金調達コストが重し |
| 株価位置 | AIテーマの中核として資金が集まる | 高値圏で需給が重く調整しやすい |
| 経営 | 大胆な投資判断が大きなリターンを生む | 意思決定の振れが業績の予見性を下げる |
強気派はAIポートフォリオの伸びしろを、弱気派は資産価値の変動性と一極依存を警戒する。当社は、物語の力を認めつつも、前述の通り株価がコンセンサスに肉薄し、日中の値動きも荒い点を重く見て、現時点では様子見が妥当と判断する。
同社に対する証券会社の目標株価は、6月に入って軒並み上方修正された。直近で公表された主な目標株価は次のとおり(証券会社名・¥)。
個別の目標株価は¥8,000〜¥11,000に分布し、足元の大手証券は強気だ。ところがこれらより広い母集団を集計するみんかぶの平均目標株価は約¥7,632(2026年6月23日時点)で、現値からのアップサイドは1割強にとどまる。レーティング自体は「買い」優勢だが、最新の強気レポートと平均値の間に開きがあること自体が、現値の評価の難しさを映す。総合すると、9984の株価に対する当社判断は『中立』、戦略は「様子見」。Armの動向とAI投資の進捗を見極めながら、調整局面での打診買いを検討する局面と考える。
9984は投資持株会社で、Armや未上場AI企業への投資で値が動く攻めの銘柄です。一方9434は国内通信を本業とする安定配当株で、リスクとリターンの性格が大きく異なります。配当目的なら9434、AI投資への連動を狙うなら9984という整理になります。
年間配当は¥11前後で、権利確定は3月末と9月末の年2回です。配当性向は1%台と低く、利益は配当より成長投資に振り向ける方針のため、インカム狙いの保有には向きません。
あります。2022年前後にはハイテク調整でファンドが巨額の評価損を計上し、株価も大きく下げました。保有資産が市場全体のリスク選好に連動するため、AI相場が冷えれば同様の水準訂正が起こり得る点は覚悟が必要です。
連動性は高いです。Armは同社の中核保有資産であり、その株価変動は保有資産の時価を通じて9984の評価に直結します。Arm一極への依存度が高いことは、上昇局面の追い風であると同時に下落局面の弱点でもあります。
四半期ごとに開示されるNAV(時価純資産)と、株価がそれにどれだけディスカウントされているかを継続して追うことが要点です。ディスカウントが大きく開いた局面は、長期投資家にとって相対的に取りやすい水準となります。
免責事項
本記事は情報提供のみを目的としており、金融商品の売買を推奨・助言するものではありません。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談のうえ行ってください。
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