Cardano(ADA)のクジラは、6月下旬に保有額を増やした。これは、オンチェーン活動が低調となる中での動き。1000万ADAから1億ADAを保有するウォレットの供給シェアが上昇する一方、取引件数とスマートコントラクト利用は数週間ぶりの低水準まで減少した。
この蓄積は、ネットワークの大規模アップグレードサイクルの最中に行われた。ADA価格が数年ぶりの安値付近で推移するなか、大口保有者の行動と一般利用者の動向に明確な乖離が生じている。
ADAは6月29日に0.15ドル付近で取引され、週間で約8%下落、過去30日間で約38%値下がりした。時価総額は約54億ドルで、数年ぶりの安値圏にある。
Santimentのデータによれば、1000万ADAから1億ADAを保有するウォレットの供給シェアは、6月25日の37.66%から38.13%へ増加。このグループは月末にかけてトークンの買い増しを継続した。
この動向は数日間続いた不安定な保有状況からの転換となる。
別のオンチェーンデータでも同様の傾向が示された。100万ADA超の出力は6月21日と6月24日に急増し、6月24日には大口ウォレットのユニーク数が45日ぶりの高水準を記録した。
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直近24時間でも同様のクジラ型保有パターンに匹敵する流入があった。
大口流入には取引所や内部移動も含まれる。これらは確定的な買いというより、ポジション調整のサインである。
クジラが規模を拡大する一方、全体利用は逆方向に動いた。6月28日の日次取引件数は約1万7400件と、45日間で最も低い水準となった。
スマートコントラクト取扱件数は同日約4250件まで低下。期間内で最弱の数字であり、6月5日のピーク約2万6000件から大きく減った。
スマートコントラクトに関わる取引比率も約24%まで低下。5月下旬は40〜45%のレンジで推移していた。ネットワークのガス代も同時に減少し、6月高値時の約2万3000ADAに対し、約5100ADAまで縮小。要するに、Cardano利用の実需は伸びておらず、冷え込みを示す。
大口保有者の動向は、ここではまちまちだ。今サイクル初期には一部のグループが上昇局面で売却しており、他のグループはフォーク後に売却した。
両者とも、Cardanoの速度とコストに関する従来からの課題を解決する狙いがある。
ひとつはOuroboros Leios。ネットワークがトランザクション処理を逐次ではなく並列で行えるようにする。目標は毎秒処理能力を現行の約10件から1000件超に引き上げること。
Leiosはまだ一般ユーザー向けには稼働していない。開発者向けのテストネット「Musashi Dojo」が6月23日に公開された。本番メインネットでのリリースは2026年11月頃を予定している。
もうひとつはvan Rossemアップグレード(Protocol Version 11)。スマートコントラクトのガス代ルールを刷新し、実行コストを低減させるものとなる。
Van Rossemも自動では適用されない。コミュニティによるオンチェーン投票で承認が必要。最も早い開始日は6月28日であり、投票に時間がかかった場合は7月の日程も予備候補となる。このタイミングは、中長期的なADAの見通しにとって重要な要素となる。
つまり、いずれの変更も一般ユーザーにはまだ反映されていない。クジラはアップグレードの結果ではなく、その期待感を先回りして買う動き。
ここで、カルダノのクジラによる買い増しとネットワークの低調さが交錯する。大口ウォレットがADAを蓄積する一方で、日常利用やスマートコントラクトの稼働、ガス代はいずれも45日ぶりの低水準にとどまる。
こうしたギャップは将来を見越した賭けとして説明がつく。クジラはネットワークが現在活発だからではなく、アップグレード前にポジションを築いている構図。こうしたパターンは、軟調なADA価格の動向とも対照的である。
次の動きこそが真の試金石となる。LeiosとVan Rossemによりチェーン上の活動が回復すれば、先に買っていたカルダノのクジラは賢明な判断だったとなる。活用が引き続き低調なら、この買い増しは市場が見送る賭けに過ぎなかったことになる。


