スペースXのオンラインストアに登場した柴犬のぬいぐるみが、パロディ暗号資産であるミームコインを再び急騰させた。
スペースXのポラリス・ドーン計画にちなんだ「アステロイド」ぬいぐるみをテーマとするイーサリアム基盤のミームコイン「アステロイドシバ」は、CoinGeckoによると過去1週間で137%超上昇した。
時価総額は一時的に週初の約2200万ドルから最高で8600万ドルまで上昇し、その後6000万ドル前後まで下落した。
この動きにより、トークンは一時的に6000万ドル超の時価総額を上乗せした。下落後も、スペースX関連の最新の注目が集まる前の水準を大幅に上回っている。
きっかけは単純だった。スペースXがストアで「SPACEX ASTEROID PLUSH」を35ドルで「まもなく販売」として掲載し、「9月にアステロイドが“着陸”する見込み」と発表した。
ストアページでは、アステロイドを「ふわふわの耳を持つ柴犬」と紹介し、デザイナーは「ポラリス・ドーン」チームの名誉メンバーである「Liv P」と記載されている。
暗号資産トレーダーたちは、これを“バイラル化”したストーリーへの新たな燃料と捉えた。
アステロイドは本来、暗号資産のマスコットとして作られたわけではない。開発者リヴ・ペロット氏は若きがん患者で宇宙ファン。St. Jude関連の宇宙飛行プロジェクトを通じてポラリス・ドーンクルーとつながった。
このぬいぐるみは、2024年9月のポラリス・ドーンミッションでクルーの無重力指標として宇宙に飛んだ。宇宙飛行士が微小重力到達を示すために使う小道具である。
リヴ氏は、アステロイドがイーロン・マスク氏の柴犬「フロキ」に着想を得たと語っていた。宇宙は決して遠い存在ではないと、子どもたちに伝えるために作られた。
リヴ氏は1月に死去する前、マスク氏に質問リストを残したと報じられている。最後の質問は、「アステロイドをスペースXの公式マスコットにできるか」というものだった。マスク氏は後に公開で返信し、この反応がぬいぐるみを暗号資産ストーリーへと昇華させた。
4月には、マスク氏の返信がきっかけでASTEROIDが急騰した。CoinDeskの報道では、匿名ウォレットが取引額575ドルから5日間で約117万ドルまで伸ばした例もあった。
今回の急騰はその続編である。今回はSNSの返信だけでなく、スペースXのストア掲載が材料となった。
重要なのは、ぬいぐるみとトークンの区別である。スペースXが販売しているのはアステロイドぬいぐるみであり、ASTEROIDトークンを販売・推奨・支援しているわけではない。
このトークンはスペースX、St. Jude、マスク氏、リヴ氏の家族と公式な関係は一切ない。トークンの収益を慈善団体に寄付する仕組みも検証されていない。
それでも市場の動きは止まらない。ASTEROIDは今や純粋な「ストーリー銘柄」として、スペースX伝説、柴犬ミーム、感動のインターネット物語の要素を併せ持つ。
こうした組み合わせが数日で数千万ドル規模の時価総額を生み出した。一方で、注目が薄れれば急落する事態も起こり得る。
