マイケル・セイラー会長が、木曜日にプラハで開催されたBTC Pragueの壇上で、ストラテジー社による32BTC売却について言及した。同氏は、この取引が同社の長期的なビットコイン(BTC)方針に影響を与えるものではないと聴衆に語った。
セイラー会長は長年、投資家にビットコインを決して売却しないよう促してきた経緯がある。このため、少額の財務取引が今週になって同氏自身のスローガンに逆風となった格好だ。
ストラテジー社は5月26日から31日にかけて、32BTCを約250万ドルで売却した。1枚あたり7万7135ドルで、取得原価の7万5699ドルをわずかに上回った水準。
この取引は、6月1日にSECへの届け出で明らかになった。これを受けてMSTR株は約6%下落し、同社による2022年12月以来初めてのビットコイン売却が話題を呼んだ。情報開示はポリーマーケットで契約決済を巡る1500万ドル規模の論争にも発展した。
売却益は、ストラテジー社の優先株に対する配当原資として充当される。取締役会は、優先株5シリーズ全てを対象に6月30日付で現金配当を決定済みであり、これは同社資本構成に伴う恒常的な義務となっている。
売却量は、ストラテジー社が保有する84万3706BTC(評価額約620億ドル)の約0.004%に留まった。ただし、同社はすでに購入ペースを減速させていた。春先には決算発表前に購入を一時停止し、最近も週間購入を見送った例がある。
6月11日にプラハで登壇したセイラー会長は、この表向きの矛盾に正面から向き合った。
セイラー会長はBTC Pragueでこう語り、アレックス・ブラギン氏が動画をSNSで共有した。
セイラー会長によれば、このアドバイスは個人投資家を念頭に置いたものであり、今回の企業による売却は特定の財務義務に伴う措置だったという。同氏の説明では、会社としては通常の財務管理を行ったにすぎず、ビットコインからの撤退ではないと強調した。
同氏はまた、売却を揶揄するネット上の声にも動じない姿勢を示した。会社が財務義務を無視して売却を一切否定する方が「愚かだ」と述べた。
今回の売却判断の背景には、ビットコイン相場の先行き懸念ではなく、流動性需要が要因だったとの認識を示した。実際、250万ドルの売却は620億ドルの保有額から見てごく小規模でしかない。
セイラー会長はかつて、「ビットコインを売るくらいなら腎臓を売れ」とまで発信していた過去があり、こうした過激な発言が今回の書類公開で一層批判を招いた形となった。
懐疑的な見方も根強い。一部のアナリストは、今回の件がMSTR株への圧力増大につながっていると指摘、同株は直近の高値を下回る水準で推移している。一方、ビットコインは金曜日に6万3400ドル付近で取引され、24時間で1.4%上昇した。
今後の試金石は6月30日に訪れる。優先株の配当が予定されており、ストラテジー社が新たな資金調達で分配原資を賄うのか、それとも再びビットコイン準備金を取り崩すのか、投資家の注目が集まる。